審判 心構え 四原則・三確認主義

審判に必要なもの、心構え

自信を持って笛を吹くにはルールに熟知することが必要です。しかし、つい試合に呑まれてしまったり頭で理解していても実際に笛を吹くのは難しいものです。審判が自信なさげだったりオドオドしていればプレーヤーになめられたり不信感を抱かせます。ハッタリでも良いので堂々と立ち振るいましょう。
躊躇せず物怖じせず笛を吹くということを心掛けたほうがいいと思います。失敗も多くあるでしょう、自分の不甲斐無さに落ち込むこともあるでしょう。しかし、反省点を次に活かせばそれで良い、と思います。

どれだけやっても審判に完璧という言葉はありません。もし完璧だと思ってしまったら、それは思い違いか思い上がりです。完璧な審判とは恐らくこれまでに誰も居ないしこれからも出現することは無いでしょう。

常に向上心を持ち、謙虚に先輩審判のアドバイスを受け、時には叱責を受ける。そうして経験を積み成長していくものです。

審判は”とにかく走る動く近寄る”ことが大切です。アントニオ猪木氏の引退試合で、審判にとっても非常に有益なことを言っておられました、 「迷わず行けよ、行けばわかるさ」(笑)


競技規則・オフィシャルズマニュアル

審判をやるなら必携です、審判がルールを知らなくては話になりません。

愛読書はルールブックと言えるくらいになりましょう(笑)

競技規則とオフィシャルズマニュアルは各1800円でJBA(旧JABBA 日本バスケットボール協会)で通販していますし、各地域のバスケットボール協会事務所で在庫を置いている場合は直接行っても売ってもらえます。

競技規則とオフィシャルズマニュアルに加えて、一般的に市販されている書籍で勉強するのも良いと思います。


詳解 バスケットボールのルールと審判法〈2011〉


審判四原則

 オールウェイズムービング
オールウェイズムービングという言葉があります。審判は何の制約も無く動きまわれるわけです、とにかく見える場所に行く、絶えずベストなポジションに移動することが大切です。

ボクシング・イン
審判は対角線に位置し全てのプレーヤーを視界の範囲に置きます、また対角線に位置しプレーヤーを挟んで見ることにより死角を減らします。このことをボクシング・インと言います。

ペネトレーション
良い角度と確実に近くで見るためにも、足も気持ちも踏み込むことが大切です。プレーの状況によってはグッと近寄りましょう。

スペース・ウォッチング
からだの触れ合いの有無や程度を判断するためにプレーヤーの間のスペースを見極めること。


 三確認主義

1945年以来、畑龍雄氏、古川幸慶氏らが身体接触により起こるパーソナルファウルがどんな条件で成立するかを理論的に確立して全国に普及し、審判を行う上での基本となっています。

 

1.からだの触れ合いの事実はあるか

身体接触の無いパーソナルファウルはありません、身体のどこの部分が触れたのかを確認しなければなりません。

2.その触れ合いを起こした責任はどちらにあるか

責任の所在を見極めるためには、その前の状態(距離や位置など)を把握しておく必要があります。
また双方が接触を回避しようとして、やむをえず接触してしまった場合にはどちらにも責任は無いものとして、ファウルは採らず続行したほうが良い場合が多いと思われます。

3.その触れ合いによりプレーに影響があったか

軽微な接触でありプレーに影響が無い場合は無闇にゲームを止めるべきではありません。
影響の有無又は有利・不利を確認することが必要になります。

上記の「事実」・「責任」・「影響」の三つを確認し笛を吹くのか吹かないかを判断することを「三確認主義」といいます

プレーは瞬時に移り変わっていきますので瞬時に判断して笛を吹くというのは過酷とも言えることです。接触が起こる前の両プレーヤーの距離・位置などを把握し、プレーがどう展開するのかをいくつか予測しておく必要があります。


フィール・ザ・ゲーム

フィール・ザ・バスケット、フィール・ザ・プレーなどの言葉がありますが同じ意味です。
プレーヤーがどういう意図でそのプレーをしているのかを感じ取り、プレーや試合の流れを読み、ジャッジしなければいけないという意味です。

ただ機械的にファウルを採り上げていくだけでは、プレーヤー・コーチ・観客など全てにフラストレーションが溜まります。
採るべきファウル・バイオレーションはキッチリ採り、流すべきものは流すということです。

 

フィール・ザ・ゲーム誤解や語弊を承知で噛み砕いて解り易く説明すると、例えば体育の授業のバスケットボールでキッチリとファウルやバイオレーションを採っても全然試合は進まないしオモシロクない。

またNBAでダンクシュートに行く際のトラベリングなどに比較的寛容なのもフィール・ザ・ゲームの一種かもしれません。

要するに、「空気読めよ」ということです。

また、無闇にゲームを停めないという観点から、ゲームやプレーに全く影響の無いものは採らないという”暗黙のルール”と呼べるものも存在します。昨今ではなるべくゲームを停めない・流れを切らないというのが主流です。

例えばトラベリングであっても、ディフェンスが惑わされなかった・影響は無かったものについては採り上げないというものです。

ルールの建前と本音的なものです、このあたりは審判員の間でも意見の別れるところですし先輩審判に助言を求めてください。

この部分はサイト管理人の主観なので軽く読み飛ばしてください。

 


アドバンテージ

アドバンテージ(相手に責任がある接触でも意図したプレーが続けられる状態)とディスアドバンテージ(相手に責任がある接触で意図したプレーが続けられない状態)を判断しなければなりません。

アドバンテージのわかり易い例を挙げますと、

・オフェンスのプレーヤーがファウルを受けながらも味方にパスをし、パスを受けたプレーヤーはシュートを成功させた。

・オフェンスのプレーヤーがファウルを受けながらも速攻に走っている味方にパスをし、パスを受けたプレーヤーはシュートを成功させた。

これらの場合、ディフェンスのファウルを採ってしまうと得点はノーカウントになってしまう訳です。
場合によっては一呼吸待ってから笛を吹くことも必要になります。

アドバンテージを正しく判断するためには、審判三原則の「影響」とフィール・ザ・ゲームを実践する必要があります。

 


「見込み」で吹かない

確認できたものについてのみ笛を吹きます。

”接触したであろう”・”ファウルだろう”などの、見込みや思い込みで笛を吹いてはいけません。

見込みで吹いて、たまたまそれが正解であったとしても、それはただの偶然です。審判の技術向上にはなりません。
またハズレだった場合はプレーヤーからの信頼を失います。

 


このサイトは審判の初歩について解説しています。しかし、審判四原則・三確認主義・フィールザゲームなどこれらを全て実践するのは経験を積んだ審判でも難しいものです。

しかし意識するのとしないのでは結果が全く変わってきます。ルールも頻繁に変更になりますし常に向上心を持って一緒に精進していきましょう。